憧れと自戒の1枚
ライター
Yasuko.A
2014.12.17 UP
19世紀末、ウイーンで活躍した画家、
グスタフ・クリムトのあまりにも有名な絵画「接吻」。
金箔と、背景の暗色によって引き立てられた男女の像、
着衣を彩るモザイク模様に、目の前に広がる夢のようなお花畑。
恍惚とした女性の表情。あやうい足元。
幸福の絶頂にある恋人同士を描いたもののように見受けられます。
絵の意味するところは、世に様々な評論が展開されていますが
それはそれで参考にしつつ、この絵を通じて自分なりに思うこと。
恋愛とは甘美なものだけど永遠じゃない。
目前にあるかのように見える幸福。
けれども現実はきわめて不確かなもの。
ひとたび踏み外せば向かう先は暗い崖下。
20〜30代の時と違って、40代以降の恋愛は
慎重にならざるを得ないものですよね。
パッと燃えて燃え散れば、失うものは大きすぎる。
だから相手との距離感を気にしつつ、
左脳で恋をする。
その実、心の奥ではこの絵のような燃え輝く恋愛に
焦がれもする。だけど。
見るたびに、
憧れと自戒の念を深めずにはいられない1枚です。