良い50代にするために。今しておきたいこと。
ライター
Yasuko.A
2015.03.27 UP
日々のタスクが山積みだと読書のできない性質です。
先日ようやく仕事が落ち着きまして、
長らく「未読リスト」に入りっぱなしだった一冊を
ようやく読了できた次第です。
◆「母の遺産」〜新聞小説〜
著者 水村美苗氏(中央公論新社 刊)◆
読売新聞の掲載が2010年の1月から2011年の4月、書籍が2012年3月の初版、
大佛次郎賞受賞作品ですので読まれた方も多いでしょう。
未読な方のため、内容にはあまり触れずにおきますが、
Amazon.comの作品紹介から、ちょっとご紹介。
・・・八十歳を過ぎた母が骨折をして病院に運び込まれたその日、美津紀は夫・哲夫の引き出しから花柄のティッシュ入れを見つける。施設に入った母に時間を奪われ続け、美津紀は思う。「ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」親の介護、夫の浮気、忍び寄る更年期、老後資金の計算…実体験を交えて赤裸々に描き大きな話題を呼んだ、大佛次郎賞受賞作・・・
この小説、「娘」として読むか、「母」として読むか、
立ち位置によって感想もさまざま。
けれども女性はだれもが誰かの「娘」であり、
小説も「娘」目線から書かれているので、
もしこれからお読みになる方がいらっしゃれば、
ここはひとつ娘目線でお読みになるのをおススメします。
(ちなみに私の母は「母」として読んだため、やはり私とは違った感想を述べていました)
読後感は、
「・・・50歳になる前に読んでよかった」。
私にとってかなりタイムリーな一冊だったのです。
私が50歳を過ぎれば母の年齢は80歳代。
自分自身の健康に気掛かりなことが増えるうえ、
母の身上にも変化が生じ、介護や看護が必要になるでしょう。
未来への過剰な心配は精神衛生上よくありませんが、
「その時」は案外と突然やってくるようですし、
心の準備、お金の準備、家族間の意思確認
(誰がどんな役割をするかなど)は今のうちに
しておくべきだなと感じました。
きっと自分の意志ではどうにもならないこともあるでしょう。
こんなはずじゃなかった!と、悲嘆するかもしれません。
この小説の主人公のように。
親の心配だけではなく、
自分自身だって順風満帆・問題ナシ!とはいえません。
いま、本当は気付いているのに気付かないフリをしていることは、
数年後、数十年後に我が身の上にふりそそぐ。
心身ともに健やかで良い50代を過ごすために、今できること。
それは、今起きていること、自分を取り巻く現実から
目を背けずにしっかり対峙する。
家族、人間関係、仕事、健康。
そんな気付きを与えてくれた一冊に感謝。
小説家とは、つくづく凄い仕事です。